・発足の経緯(旧ホームページの資料集へのリンク)
2002年10月から半年間の「仕事おこしワークショップ」の成果として発足しました。
北アルプスから豊富に流れ出す水と、先人たちが開拓してきた農業用水路を、地域の資源としていかして、個性的な地域づくりをすすめようとするプロジェクトです。
2003年10月18日、市民実験として3ヶ所でミニ水力発電所をたちあげてました。
プロジェクトがめざす地域づくり像
・くるくるエコプロジェクトの現状と課題(2007年11月時点)
ミニ水力発電の普及をめざした「くるくるエコプロジェクト」は、2003年10月に立ち上げた3ヶ所(川上、駒沢、小西の各ミニ水力実験所)での公開実験の開始から6年が経過しました。
その後、小西ミニ水力発電所は、地元土地改良区にたいする不手際等があり継続できなくなりましたが、2005年10月に北安中部漁協との連携によるコヲミ平ミニ水力発電所がつくられ、現在にいたっています。
また、この間、木崎湖の水門を利用した発電、商店街の暗渠となっている水路を使った発電など、新たな挑戦も試みていますが、水利許可をめぐる壁が高く、思うような展開ができていません。
とはいえ、ミニ水力発電に対する関心はようやく全国的に高まりつつあり、現在でも多くの見学者が訪れています。ある見学者には「これを継続し、その苦労 や課題を含め発信しつづける義務があなたたちにはある」と指摘されましたが、全国的な観点からの意義は色あせていないようです。
国土交通省にたいする水利許可申請は毎年更新してきました。国としては、公共用水を個人的な発電に利用することは許可できないという立場です。そこで、 私たちは市民実験であり、環境学習活動であるとの立場で申請し、許可を得てきました。実際、全国から多くの見学者がたえないことは、その証左ともなってい ます。
とりわけ、川上博さん(本プロジェクト顧問)よる川上ミニ水力発電所は、自前のらせん型水車と変電設備で、オール電化住宅と組み合わせたユニークな省エネルギー住宅となっており、来訪者は必ず驚きの声をあげています。
日本で初めてベトナムから輸入した発電機を設置した駒沢ミニ水力発電所は、水路に直接設置しているため、落ち葉や枯れ枝などの問題があり、一時的な利用 にとどまっています。しかし、設備の安さ、設置方法の手軽さもあって、この発電機はいまや全国6~7地域で輸入されているようです。
コヲミ平ミニ水力発電所は、景観と調和したクラシック型水車で、背景の大町ダムとのコントラストもあって、見学者に好評です。しかし、諸々のトラブルもあって、発電という点では思うような成果をあげていません。
駒沢水力とコヲミ平水力に共通して、恒常的なメンテナンスが課題です。川上水力のように自宅前に発電設備があると管理しやすいのですが、水力発電は24時間発電することが利点でもあり、難点でもあるのです。
一方、大町市内では、市が社地区の水路を使って100kW級の小水力発電により公共施設に電力供給する事業に着手しています。また、東京電力が大町新堰 を使った1000kW級の小水力発電を行い、首都圏に送電する計画を市に提示しています。こうした動きを、自然エネルギーの普及という観点から歓迎したい と思いますが、地域おこしという観点から地元産業を育てるものとはなっていないことを残念に思います。
本会のくるくるエコプロジェクトは、日本ではまだ十分なノウハウが蓄積されていない10kW未満のミニ水力発電の普及をはかるものです。それだけに、注目もされていますが、制度的にも、技術的にも、課題が山積にしています。
国にたいしては、特区申請も試みましたが、「水利権は全国一律に対応すべき課題」と門前払いとなっています。傘木代表が関東経済産業局による調査委員会 の委員に選任され、そのような機会を通じて、電気保安管理士の設置を必要としない10kW未満のミニ水力発電にたいする規制緩和(許可制から届出制へ)を 提言しています。
いろいろな制約はありますが、ミニ水力にたいする全国的な関心の高まりを追い風に、またそれを裏切らないように、この活動を継続し、地道に広げていきたいと考えています。
・新聞報道
日本経済新聞記事 2007.6.21付