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Author: kasa
• 木曜日, 5 月 26th, 2011

 代表のkasaです。

F.エンゲルス
F.エンゲルス

 古典に学ぶシリーズⅣ「人間と開発」の第8回は、エンゲルス『猿が人間になるにあたって労働の役割』(1876年)でした。

この論文には神や人間性を冒涜する説だとの批判があります。しかし、気の遠くなるような試行錯誤と学習を通じてヒトが形成されてきたのであれば、そのことこそ尊い営みではないかと思いました。
 
以下は、人間の開発行為とその自然や社会に与える影響についての有名な記述です。

われわれ人間が自然に対してかちえた勝利にあまり得意になりすぎないようにしよう。そうした勝利のたびごとに、自然はわれわれに復讐するのである。なるほど、どの勝利も最初はわれわれの見込んだとおりの諸結果をもたらしはする。しかし、二次的また三次的には、まったく違った、予想もしなかった効果を生み、これが往々にしてあの最初の諸結果を帳消しにしてしまうことさえあるのである。

135年前のこの指摘は今もなお繰り返されています。

しかし、エンゲルスは、人間にはそうした影響を事前に見積もり、回避する手段を講じる知恵が蓄積されつつあるとも言います。

われわれは、長いあいだのしばしばきびしい経験をつうじて、また、歴史的材料の取り揃えと研究とをつうじて、しだいに自分たちの生産的活動のかなりあとになって現われる間接の社会的諸影響を明らかにすることを習いおぼえてきており、また、これによってわれわれには、こうした影響をも抑え規制する可能性が与えられているのである。

私は30歳代からアセスメントにかかわってきて、その意義を再確認することのできる記述に出会えて、うれしい気がしました。しかし・・・

この規制を実施するためには、しかし、ただの認識以上のものが必要である。そのためには、われわれのこれまでの生産のしかたと、それとともにわれわれのこんにちの社会体制全体とを完全に変革することが必要である。

エンゲルスはこのように釘をさしています。

しかし、旧ソ連邦でチェルノブイリが、日本で福島があったように、政治体制の違いで解決できる問題ではないことを事実は示唆しているように思います。
原子力という人間が獲得してきた技術をどのように評価するかは難しいのですが、少なくとも、今日のようなエネルギーの膨大な浪費と、一極集中的な消費、植民地的な生産という構造を変えないと、自然エネルギーでは解決できません。そして、このような社会構造の問題は、エネルギーに限らずあらゆる社会問題に共通した病根となっているのではないでしょうか。

古典学習会の第Ⅳ期もあと2回で終了です。次回は、青年マルクスによる『経済学・哲学草稿』です。労働の意味を捉えなおそうとする意欲的な作品です。

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2 Responses

  1. 初めて「5分で分かる古典」スタイル? :mrgreen: の学習会に参加しました。

    正直、ここでのエンゲルスって結構ナイーヴで楽観的でさえあるなぁ...などと感じました。
    確かに「知恵の蓄積」は厳然と存在して人間社会における最重要なファクターでありますが、残念なことにヒトは過去からしか学べないことも確実な原理でありまたヒトの能力の限界でもありますなぁ。
    それを打開するのが、
    ┏━━━━━━━━━━━━
    われわれのこんにちの社会体制全体とを完全に変革すること
    ┗━━━━━━━━━━━━
    なのだと彼は言っているのでしょう。
    また仰る通り、その事にさえも、今回の現実はヒトの能力の限界を再認識させる過酷な災害が示されてしまったのだと思います。

    つまるところ、今ヒトに求められるのは過去ではなく将来を見据えた「蓄積を土台とした、壮大な創造力・想像力」なのかな...などと考えさせられました。

  2. たま~に参加してます、古典学習会。古典でありながら、今の時代を予想していたかのように、あてはまることがあり、学ぶことができます。今日も事務所に、こ小水力発電の件で来客があり、その方がおっしゃるに「これからは世の中変わるでしょう!」と。そうでしょうか?私たちの活動は方向性としては間違ってはないと自負してますが、実現するためには様々な障壁を乗り越えなければなりません。だからこそ夢があり、おもしろいのかも???とりあえず私は今日、県知事にお便り書きました :cry:

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