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Author: kasa
• 火曜日, 10 月 21st, 2014

たいへん遅くなってしまいましたが、830日に大町市八坂公民館「アキツ」で開催された「全国風穴小屋サミット」についてご報告します。

開会式

開会式

◆全国から102名が参加

当初、マイナーなテーマなので、参加者目標を50名としていましたが、北は秋田県から南は福岡県まで22地域から102名が参加し、思いがけない大盛況でした。とりわけ、公民館事業として風穴に関する連続講座を実施し、その最終回としてバスで24名も連れ立って来られた上田市の皆様には心から感謝いたします。

地元を代表して、ご先祖が「源汲風穴小屋」を営んでいた大町市教育長の荒井今朝一さんよりご挨拶していただきました。

夏の風穴(冷風穴)

夏の風穴(冷風穴)

◆風穴とは

風穴は、地すべり地形の凹地に崖錐が発達して、岩屑が厚く堆積することで、岩屑の間に空隙がつくられた場所をいいます。そこを空気が移流することで、夏期には下部で冷たい風が吹き出します(冷風穴)。そこを小屋で囲い込んで天然の冷蔵庫として利用されてきました。なお、冬期は上部で温かい風が吹き出ます(温風穴)。風穴小屋は、明治期の産業のグローバリゼーションを背景に養蚕業とともに発展しました。

けっして寒冷地や高地にあるのではなく、南は沖縄にもあり、標高もたった10mの場所にもあります(山口県萩市・笠山風穴)。

冬の風穴(温風穴)

冬の風穴(温風穴)

 ◆風穴活用の可能性

基調講演者の清水長正さん(駒澤大学)は、全国各地の事例と研究成果を紹介した上で、これからの風穴活用として、以下の5つを提示しました。

  産業遺産としての文化財指定

日本の近代化に果たした役割は大きく、それぞれの地域の産業史にも重要な足跡を残してきた風穴小屋を、文化財として市町村が指定すること。荒船風穴(下仁田町)が富岡製糸とともに世界遺産登録されたことをはずみとしたい。

  クールスポット見学のジオツアー

清水氏の基調講演

清水氏の基調講演

ジオツアー(地質・地形・歴史の特徴的な場所をめぐるツアー)がさかんになっている中、天然のクーラーとしての楽しさを売りに、観光や野外学習の拠点として利用することができる。

  実用冷蔵庫

風穴小屋は、(社)日本冷蔵倉庫協会による冷蔵倉庫の分類から照らすとC3級(+10℃以下-2℃以内)に相当し、実用性ある自然エネルギーとなりうる。先人たちが実践してきたように種苗、花卉、漬物、果実、野菜、種類、発酵品などの貯蔵・熟成に使える他、停電時の非常用冷蔵庫(DNAサンプルの保管等)に使える可能性がある。

  寒冷地植物の栽培

冷風穴の周辺では、そこだけ寒冷地植物が見られ、「風穴植生」と言われている。これを利用して、里地ではめずらしい高山植物のような寒冷地植物を栽培することの可能性もある。

  人口風穴の開発

金沢城の城壁の石積み(戌亥櫓石垣)の下部では外気温より10℃近く冷たい空気が出ていることが知られている。つまり人工的に風穴小屋を造ることも可能であり、人工的に天然冷蔵庫を併設した施設整備も考えられる。

 各地からの報告

信・上:甲州風穴小屋分布図

信・上:甲州風穴小屋分布図

飯塚聡氏(県立高崎高校)は、このたび世界遺産登録された荒船風穴が形成される前史として、長野県の風穴の取組みが重要であったことを紹介しました。

越前おおの農林楽舎の小川市右ヱ門氏は、荒島風穴の復元利用にあたり、、市内の各種メーカーに協力を依頼して、日本酒、ワイン、醤油の貯蔵を試験的に行ったところ(1年間)日本酒において良好な成績が見られたことを紹介しました。

亀田屋酒造社長の竹本祐子氏は、松本市の稲核風穴で地酒を貯蔵し、見学用として風穴小屋の構造を工夫しながら保冷することで地酒の付加価値を高めていることを紹介しました。

 九州大学大学院で蚕のDNAを研究している伴野豊氏は、文科省の指導もあり、種の保存のために他の土地に第二冷蔵庫を探している中で、電気冷蔵庫の場合はカビが生じるが、風穴小屋は湿度が100%近いにもかかわらずカビないことを知ったと紹介しました。その理由は、電気冷蔵庫内は発生した菌が循環してしまうが、風穴の場合は地下から新鮮な空気が供給されるためではないかと、風穴所有者から教えられたとのころです。これに対して、鷹狩風穴小屋(大町市)で焼酎や日本酒の熟成を行っている種山博茂氏も「長年風穴にお酒を置いていてもラベルがカビないのは不思議だと思っていた」とコメントしました。風穴の意外な活用方法に気づかされました。

 ◆来年は出雲市で開催

第2回全国風穴小屋サミットは、島根県出雲市の八雲風穴を会場に、来年(2015年)829日(土)に開催される予定です。上田市や大野市からも「その次に」という声が出され、今後も継続していく見込みが得られたことは本当にありがたいことです。

 大町での実行委員会でも、今回の成功を励みに、来年は県内の風穴めぐりバスツアーを企画しようという話も出ています。風穴の出会いが広がることを期待しています。

 

<ご案内>

全国風穴小屋サミットの資料をお分けします(詳しくはお知らせから)

◆資料集(A3見開き50頁、白黒印刷)

◆全国風穴小屋マップ(A1、表面:カラー刷の日本列島マップ、裏面:風穴小屋調査一覧表)

1,000円(送料込み)

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One Response

  1. [...] 去る2014年8月30日、大町市で開催されました第一回「全国風穴サミット in 大町」は大変盛況のうちに終了いたしました。 工房ブログリンク<全国風穴小屋サミット 開催報告> [...]

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