トップページ » 菜の花ブログ » 北ア広域ごみ処理施設の生活環境影響調査内容案への意見

Author: kasa
• 土曜日, 4 月 20th, 2013

代表のkasaです。

現在、北アルプス広域連合では、新しいごみ処理施設の生活環境影響調査の調査内容(案)について、一般からの意見を募集しています。募集期間は5月1日までです。

私より、以下のように意見を提出しましたので、ご参照願います(PDF版は→傘木意見)。

 

北アルプス広域連合 御中

 生活環境影響調査の調査内容(案)についての意見

                                 NPO地域づくり工房 代表理事 傘木宏夫(環境アセスメント学会常務理事)

調査内容(案)に示された調査手法は概ね環境省の指針等に沿ったものです。しかし、地域の状況に合せて調査内容を検討するという環境影響評価制度の趣旨からすると不十分だと考えます。以下、その理由と具体的な調査手法について提案させていただきます。

 1.問題点

(1)地域課題に即した絞込みができていない

 環境影響評価においては、地域の実情に合せたスコーピング(課題の絞込み)が重要です。そうした絞込みを的確に行うために、調査内容案を公開し、一般からの意見を求める手続きがあります。

 焼却施設の建設に対して、周辺地域(とりわけ大町温泉郷)から特に強く指摘されている点は、観光面での負の影響です。そのため、生活環境影響調査においては、景観への影響や大気汚染物質の到着などについて、特段の配慮が必要となります。しかし、調査内容(案)は、一般的な調査手法を記載しただけで、地域の状況に対する考え方や調査手法の工夫は読み取れません。

 とりわけ、景観については、代表的な眺望点からどのように施設が見えるかをモンタージュ写真で検討するという、かなり古い手法です。これでは、景観対策や観光については考慮していないとの批判を招く可能性があります。

(2)代替案の比較検討による環境負荷軽減努力が示されていない

 環境影響評価においては、環境への影響が不可避である場合、いくつかの代替案を比較検討し、より環境負荷の少ないほうを選択する手法が採用されるべきです。「6.影響の分析及び環境保全対策の検討」の記述にはそうした意図が読み取りにくく、調査や予測の項目においても言及されていません。

 とりわけ、景観や大気質に関する項目では、対策の比較検討を行って、よりよい選択がなれされるように、評価方法の充実を図るべきです。

(3)参加型手法に対する姿勢が弱い

 環境影響評価に対する信頼は適切な情報公開と対話を土台として形成されます。近年では、調査そのものに住民参加の要素を取り入れる事例も増えてきています。身近なところでは、長野広域連合が焼却場建設の生活環境影響評価において、上層気象の調査を住民参加で行っています。環境学習の観点からも積極的に取り組まれることを期待します。

 説明会の開催方法については、今年2月、環境省が「環境影響評価制度における情報交流について」及び「(別添)方法書段階における説明会開催に関する留意事項」を公表しています。私はこれらの検討委員会の委員を務めています。ぜひ、地元でこれら指針が活かされることを切に願います。

2.改善方法

(1)景観評価に3D-VRシミュレーターを使った参加型調査を取り入れる

 現在、私たちは、採石事業を行う事業者の依頼で簡易自主アセスを取り組んでいます。ここでは、3D-VRシミュレーターを使って、周辺地域のどの位置からでも、どのような時間帯でも、対象地がどのように変化するのかを再現し、可視化させることで、住民からの意見を求めています。経費的にも大きなものではないので、ぜひこのような手法を導入していただきたいと思います。

 景観に対する評価は感性的なものであるため、周辺地域住民等がどのように受け止めるのかが重要です。3D-VRシミュレーターを住民説明会やWEB上で公開し、アンケート等により感想や意見を集約することで、感性的な評価をある程度数値化して、評価に反映することができるようになると考えます。

(2)景観と大気質の評価に比較検討の手法を取り入れる

 一般に、煙突を高くすれば大気汚染物質は拡散しやすく、低くすれば周辺地域での最大着地濃度は高く現われやすくなります。一方、景観面では、高い煙突は景観を損ねる要因となります。また、逆転層が発生しやすい地形であり、局所的に大気汚染が高濃度になる可能性もあるので、そうした検討に資する気象データーとの比較検討も必要になると思われます。

 そこで、煙突の高さを3段階程度に設定し、それぞれにおける大気汚染物質の最大着地濃度地点を示しつつ、その場合の煙突の存在による景観シミュレーションを行って、住民等の意見に基づいて評価を行うことが望ましいと考えます。

 なお、風向調査の結果、煙突の高さのあたりで強風が発生することが予測される場合は、かえって施設直近の風下区域で大気汚染濃度が高くなる場合もあることから、地上及び上層気象の調査に際して、特段の配慮が必要です。

3.修正文案

 上記の改善策を踏まえて、調査内容(案)を以下のように修正することを提案します。

1)「3 現状把握」の記載の変更

①「(1)ア 大気質」

調査項目

調査方法

調査期間

調査地点

浮遊粒子状物質 (原文に続けて追記)あわせて、PM2.5の現況を把握する。 (原文に同じ) (原文に同じ)
窒素酸化物

(同上)

(同上)

(同上)

上記の公定法にあわせて、簡易法を用いた住民参加型の調査を行う。 1日/4季 建設予定地及び搬入道路沿道を含む地域

 ②「(5)景観」

調査項目

調査方法

調査期間

調査地点

眺望の状況の確認 3D-VRシミュレーターで施設が周辺地域からどのように見えるかを住民説明会やWEB上で再現し、住民の感想・意見を求める。 通年(住民説明会を適宜開催する) 建設予定地の周辺地域

 (2)「4 現況調査報告書の作成」

 (原文に続けて追記)その際、委託者がすみやかにWEB上に公開できるように、HTML化したものも納品すること。

 (3)「6 影響の分析及び環境保全対策の検討」

 (原文に続けて追記)大気質及び景観の環境保全対策については、代替案を提示して比較検討し、住民説明会などでのアンケートを通して住民からの評価が得られるようにすること。

 (4)「8 住民説明会への対応」

 (原文に続けて追記)また、環境省「環境影響評価制度における情報交流について」及び「(別添)方法書段階における説明会開催に関する留意事項」(平成25年2月7日公表)の趣旨を十分に踏まえること。

 以上

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One Response

  1. [...] 過日のブログに紹介した、北アルプス広域連合のごみ処理施設についての生活環境調査実施計画(案)への私の意見に対して、本日回答がE-Mailにて届きました。 [...]

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