NPO地域づくり工房 傘木宏夫
3月27日、国の社会保障・人口問題研究所が、2010年国勢調査の結果を基にした将来推計人口を発表しました。大町市についての推計値をみると、前回(2008年)に比べて、さらに厳しい人口減を見込んでいることがわかります。
先月(2/20)、私は「大町市『定住促進ビジョン』への懸念」という小論を本ブログに掲載し、このビジョンの問題点をいくつか指摘しました。
・2010年国勢調査結果は、2008年推計値を大幅に下回っており、将来人口については厳しい見通しが必要。
・同研究所の推計を部分的に紹介して深刻な見通しを覆い隠している。
・2016年の人口目標3万人という計画は過剰な投資を招く可能性がある。
・将来の地域づくりに向けた体質改善を遅らせることになる。
新しい推計結果はこうした私の見方を裏付けるものとなりました。さらに、この推計結果もまた前回同様に楽観的なものと考えるべきで、定住促進ビジョンが目標年度とする2016年頃には2万5千人を割り込むことも想定されます。
人口3万人を維持するための行政投資を考えるよりも、2万5千人の規模でも満足度の高い行政水準を考えるべきです。その結果として、そのような町に住みたいと人が流入してくることを歓迎できるようにしたいものです。
今、大町市では都市計画マスタープランを検討していますが、松本糸魚川地域高規格道路の線引きを中心に据えているようです。約20年前、私が開発系シンクタンクに勤務していた時代の手法です。計画手法もこの10年で大きく変化しています。
人口減と少子高齢化にあわせて、空き家や耕作放棄地が今後どのように増えて行くのか見据えながら、コンパクトな都市構造に再編するために、社会インフラ(病院や学校など)をどのように集約・配置し、土地利用を誘導するのか、時間をかけた調査研究と合意形成が必要です。発想を変えないと地域の空洞化を進めるだけです。
(2013年4月1日)